校友スポットライト

vol.454(発行日:2025年8月5日)

校友スポットライトでは、最前線で活躍する校友を紹介。
お仕事のことをはじめ、私生活や学生時代のエピソードなどをお聞きします。

大阪工業大学 工学部
土木工学科 1988年卒

株式会社松本工務店

専務取締役

松本 二郎

さん

兵庫県でも有数の森林資源に恵まれた波賀町で、約半世紀前に姿を消した『波賀森林鉄道』を復活させるなど地域の活性化を目指して地元有志が集まった「波賀元気づくりネットワーク協議会」。その中心的役割を担っている松本工務店の松本二郎さんに『波賀森林鉄道』復活までの道のりや新たな展望をお伺いしました。

兄弟で家業を受け継ぎながら地元活性化のために新しい取り組みにチャレンジ

1891年(明治24年)創業の松本工務店は、現在、松本さんのお兄さんが4代目社長を務める老舗工務店。河川・治山工事や公共道路工事を行う土木部門と、公共施設や電力会社・大手商業施設・個人住宅の新築・施工・改修工事を行う建築部門があり、松本さんは土木部門を統括している。大阪工業大学高等学校から大阪工業大学へ進学した際も、家業であることもあり自然と土木工学科を選択。土壌の摩擦や転圧、土砂崩れの過程などの実験を行い、土壌を強くするためにはどうすれば良いかを研究していたそう。卒業後は家業の松本工務店に入るも、実際の土木現場に出ると理論通りにはいかないことを痛感。元々の土壌の性質は場所によって全く異なり、現場ごとの状況を見据えながら、一つひとつどういう施工をしていくか考えていくのがこの仕事の醍醐味であるという。

かつて町を支えた森林産業を新しいカタチで未来へ繋ぐ

松本工務店は地元・波賀町の活性化に積極的に取り組んでおり「波賀元気づくりネットワーク協議会」の立ち上げから参加。地元ならではの町おこしの企画として『波賀森林鉄道』の復興のアイデアが出たのだそう。森林鉄道とは木材を運搬するための産業用鉄道で、波賀町でも大正~昭和にかけて山中に敷設され、最盛期には約40数・7本の鉄道網が敷かれていた。この森林鉄道を復活させるプロジェクトが本格的にスタートし、2020年には富山県の立山で役目を終えたディーゼル機関車が競売にかけられたのを知り、宍粟市に要請して落札。11月に到着した機関車を運行させるために、見よう見まねで設けられたレールは当初10m。やがて108m、そして2024年10月には678mの軌道が完成。土木の知識と経験があるとはいえ、レールを敷くという工程は見るもの聞くものすべて新しいことばかり。専門の指導者を招聘し、安全第一を守りながら、地元民はもちろん全国の鉄道好きの方々のボランティアの協力もあり完成までこぎつけた。さらにこの軌道の両端に北欧風の駅舎を建設するプロジェクト資金をクラウドファンディングで募ったところ、目標金額の150%もの応援を受けることができ、現在、駅舎建設に向けて邁進しているという。

『人と町の安全を守る』
その強い思いが活動の幅を広げていく

人と人が繋がることの大切さと力強さを実感した松本さんは、2025年4月より地元の消防団の団長も引き受けた。消防団は18歳以上から入団可能。20代~40代が主力層で、現在の宍粟市消防団には1040人が在籍している。松本さん自身も若い頃に入団していたが、その時とは異なる責任の重さを感じながら、年齢幅のある団体の中で、お互いがより仲良く、より長く続けてもらうことを意識しているという。消防団では月1~2回の訓練があり、火災や救命救急など有事に備える対応を学びつつ、台風など風水害の際には現場に土嚢を運んで積み上げる作業や、救急からの要請で人命捜索に加わることもあるという。活動中の団員の安全を守ることを一番に考えながら、宍粟市全体の安全に貢献する消防団の仕事も地域ではとても大切な役割だと感じている。消防団ではジェネレーションギャップを超えて、団員が結束力を高めることで、より強固な協力体制が生まれていく。松本さんの穏やかな笑顔と広い懐に、宍粟市の観光資源と安全が守られているのを感じた。