校友スポットライト

vol.455(発行日: 2026年2月25日)

校友スポットライトでは、最前線で活躍する校友を紹介。
お仕事のことをはじめ、私生活や学生時代のエピソードなどをお聞きします。

浦建築研究所 【https://www.uraken.co.jp/

大阪工業大学 工学部 建築学科 1989年卒

代表取締役社長

浦 淳

さん

摂南大学 工学部 建築学科 1988年卒
大阪工業大学 工学研究科 建築学専攻 1990年修了

取締役常務

浦 愉加

さん

伝統文化が息づく金沢で、公共施設やホテル、病院などランドマークとなる印象的な建築物を数多く手掛け、数々の受賞歴を誇る浦建築研究所。金沢が誇る「工芸」とコラボした『工芸建築』という新たなジャンルを生み出し、海外でも実績を重ねる浦建築研究所の代表・浦 淳さんと取締役常務の奥様、浦 愉加さんにお話を伺いました。

建築への情熱を共有する、二人の出会いと歩み

1957年創業、来年には70周年を迎える浦建築研究所。三代目である淳さんは、家業である建築の道を志すことに。一方、実家が建設会社を営んでいた愉加さんは、摂南大学で建築を学んだ後、大阪工業大学の大学院へ進学。お二人の出会いはこの時の大学のゼミとのこと。院生時代の愉加さんは、古民家などの調査に行って測量しては図面に書き起こす日々に明け暮れたそう。淳さんは大学卒業後、大阪の大手建設会社に入社し、現場監督なども経験。その中で設計への想いがつのり、1993年に浦建築研究所へ。そして、2006年には代表取締役社長に就任となる。

コンペ勝率7割超チームで挑む「調和と環境」の空間づくり

建築や設計というとデザインや構造に捉われがちだが、浦建築研究所では気候風土など環境への対応や周辺景観との調和、経年変化への配慮、そして住む人・使う人にとっての心地よさ、使いやすさといったバランスの取れた空間づくりを重視。設備設計事務所である「浦環境研究所」も経営し、建築と設備、それぞれの分野からチームでディスカッションを重ね、相互に情報を共有して提案内容をまとめるスタイルを確立。その結果、公共建築などのコンペの勝率は実に7割を超えた年もあり、金沢のまちづくりの一翼を担う企業へと成長を遂げた。

世界に示した新ジャンル「工芸建築」という挑戦

浦建築研究所が拠点とする金沢ならではのまちづくりを考えた時、金沢が長い歴史を持つ「工芸のまち」であることに着目。個性的で作家性に富む「動産」としての工芸と、不動産である建築を掛け合わせる『工芸建築』という新しいジャンルを創出する。その集大成の一つが、2018年にドイツの「ベルリン国立アジア美術館」の茶室設計コンペにて最優秀案に選定された「忘機庵」。ドイツと日本のつながり、そして禅の心を取り入れ、金沢在住の3人の工芸家と共に作り上げたこの茶室は、『工芸建築』の精神を鮮やかに体現している。

文化の向上から能登の復興へ建築家としての新たな使命

2007年には金沢の強みである「文化」を基軸に、市民主導のまちづくりを行う「認定NPO法人趣都金澤」を、さらに2013年には文化芸術事業を地域活性化に活かす「株式会社ノエチカ」を設立。フォーラムの開催や工芸建築展の企画・運営・キュレーションにも積極的に取り組み、金沢の文化的価値の向上に尽力している。そんな中、2024年元日に能登半島地震が発生。地域の方々の生活再建や復興に向け、2024年12月に立ち上げた〈のとボイス〉は、東日本大震災後に宮城で立ち上げられた〈みやぎボイス〉の運営団体から提案いただいて実現したもの。地域住民・行政・専門家・大学の研究者までがフラットに語り合うシンポジウムを通じて、さまざまな課題を洗い出し、地域ごとの特性に応じた復興のカタチを模索している。現実的に必要とされる公営住宅やコミュニティ施設の設計はもちろん、地域の大切な建造物を「壊さずに残す」活用法の提案など、新たな復興の方向性を切り拓く活動にも邁進していく。

ベルリン国立アジア美術館内の日本展示室にある、国際コンペティションで当選した、ゆらぎの茶室「忘機庵」

認定NPO法人 趣都金澤 【https://syuto.or.jp/
映画「先に棲む」 【https://sakinisumu.jp/
能登復興建築人会議〈のとボイス〉 【https://notokenchikujin.org/